●2024年問題と運送業界の課題
現在の日本は、高齢者人口が急増する一方で、少子化による人口減少には歯止めがかかっておりません。こうした人口構造の変化は、2024年問題・2025年問題に象徴されるように、労働人口の減少を通じて日本経済全体に深刻な影響を及ぼしつつあります。中でも、物流を支える運送業界ではドライバー不足が深刻化しており、この傾向は他産業にも波及することが懸念されています。
運送業は、オンラインショッピングの普及により、家庭への直接配送が日常化した現代社会において、ますます重要性を増しています。低層住宅地の細街路に対応できる軽貨物運送の需要も高っています。しかしながら、ドライバー不足に加え、燃料費・整備費の高騰が輸送コストを押し上げ、結果として労働環境の悪化や物価上昇という形で消費者にも負担が及んでいます。
●運送業のリスク管理
運送業は、多数の大型車両を運行するという業務特性から、他業種に比べて安全管理に関する法令上の制約が極めて厳格です。営業所や車庫を設置する際には、都市計画法・建築基準法・農地法などの一般的な立地規制に適合することはもちろん、運送業の本質たる安全で円滑な輸送を実現するため、①人(貨物自動車運送事業法・道路交通法)②車両(道路運送車両法・保安基準)③道路(道路法・道路構造令・車両制限令)といったの3つの要素に着目した法体系に基づき規制を受けることになります。
また、交通事故のリスクも高く、重大事故が生した場合には、ドライバー個人の刑事責任に加え、事業者としての管理責任が問われることになります。営業所への強制捜査、免許権者による監査、さらには刑事・民事・行政上の制裁を受ける可能性もあるため、日頃からの法令遵守と安全管理体制の構築が不可欠です。 法令違反には厳しい行政処分や刑事責任が伴うこともあり、運送業を営む皆様にとっては常に不安と隣り合わせな状況におられるものと拝察いたします。
●グローバル化と外国人材の活用
一方で、アジア諸国を中心とした経済成長に伴い、日本への留学や就労を希望する外国籍の方々が増加しています。今後の日本が国力を維持していくためには、こうした外国人材の力を活用することが不可欠であると考えます。
近年の出入国管理法令の改正により、一定の条件を満たす外国人ドライバーの受け入れが可能となり、運送業界にとっては人材確保の一助となることが期待されています。多くの経営者の皆様にとっても、関心の高いテーマではないでしょうか。
ただし、不法滞在や不法就労は治安や経済に悪影響を及ぼすため、入管法令に基づき厳格な管理が行われています。違反があった場合、外国人本人だけでなく、雇用主も厳しい法的責任を問われる可能性があるため、道路交通法(免許制度)、入管法(在留資格)などの正確な理解と遵守が求められます。
●行政手続きのサポート
日々の業務に追われる中で、点呼や運行管理、営業、経理、煩雑な行政手続等の細部にまで目を配るのは容易ではありません。弊所では、行政手続を通じて、経営者の皆様が本業に専念いただける環境づくりをお手伝いします。

